「陸上自衛隊フォーラム」は、陸上自衛隊の活動等を国民の皆様に広くご理解頂くため、主要演習等に連接して平成26年から開催されているものです。今回は第8回目となり、テーマ『大規模震災対処における官民の連携を図るためいかなる取組を実施すべか?』のもと、研修及び活発な意見交換が行われました。以下は、実施概要と私の所見です。
1 実施概要
(1) 期日・日程等
28.7.7(木)午前:
中部方面隊が実施する震災対処演習「南海レスキュー」の研修
28.7.7(木)午後:
基調講演、パネル・ディスカッション、意見交換等
28.7.8(金)午前:
防衛関連企業(ダイキン工業株式会社)研修
(2) 参加者等(計39人)
ア パネリスト等:
久保信保元消防庁長官(基調講演)、松島悠佐元中部方面総監、重川希志依常葉大学教授、中村勝美環境省環境リスク室、木村栄宏千葉科学大学教授
イ 参加有識者:
小川和久静岡県立大学教授ほか大学教授8人、研究者5人、民間企業3人、統幕参事官・国家安全保障局2人、マスコミ関係者・ジャーナリスト5人、NPO法人1人
ウ 主催者等:
前田忠雄陸幕防衛部長以下10人
2 所見
大規模震災における自治体等との協力関係等は真摯な努力により格段に向上してきた。今回のフォーラムは、幅広い参加有識者の参加のもと、統幕等の指揮所演習、中部方面隊の指揮所演習等の研修やテーマに応じた基調講演、意見交換等を通じて、大規模震災発生時の官民の連携を図るためいかに取り組んでいくかについて活発な議論を行うことができ、非常に有用であった。
(1)大規模震災の防災についての認識を更に深めることができた。特に、大震災における「命を守る」、「くらしを守る」及び「人を地域の再建・復興」の段階でそれぞれ「自助」、「共助」及び「公助」があり、「自助」及び「共助」により極めて多くの命が救われている現実と自衛隊等が担当している「公助」による人命救助等の位置づけ・更なる重要性を確認できた。
(2)震災対処のためには、自衛隊等、自治体、住民等が常日頃からのフェイス・トゥー・フェイスで連携するとともに、地域の特性に応じた本番さながらの防災訓練を重ねておくことが大変重要である。また、多くの退職自衛官等を自治体等の防災担当に配置させ、自治体等との連携・円滑な防災訓練の実施等に活用しており、更に配置を促進すべきと思われる。
(3)指揮所演習(一部実動演習)の研修や意見交換を通じて、防衛・警備の本来任務を遂行しつつ、国際協力活動や災害派遣を実施している方面隊の現状を再認識するとともに、災害派遣等における各種活動のうち本来あるべき災害派遣活動以外の活動を実施すべきかどうか苦悩している状況も伺うことができた。